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「丸い半導体に挑んだ男たち」 の感想

 この本をまだ読んでいない方の為に簡単に要約すると、1937年生まれ故石川明さんの一生を1941年生まれの仲野英志(以下先生)さんが二人三脚で進めたビジネスを通して人の生き方を記録に残すと同時に石川さんが達成できなかったベンチャービジネスの目標を広く業界へ公開して、多くの人々の力を結集して最終目標に到達して欲しいと願って書かれたものです。

 ビジネスとはボール型(丸い)半導体集積回路を実用化して、いままで応用が難しかった新しい分野へ電子テクロノジーが適用できるようにして、困っている人々に役立つ装置やシステムに役立って欲しいというものです。ビジネスというと、何かお金儲けの為にやるニュアンスを多くの場合に受けますが、決してその為だけでは無くて、会社の従業員やお客さんやそれを利用する人など関係する人々が皆ハッピーになる製品になって欲しいとの願いがこめられた物作りビジネスです。

 半導体集積回路((C)は1つトランジスタから複数のトランジスタやコンダンサーや抵抗やリアクタンスの集りで、そのような部品が数百万個も集積されたLSIへと発展しています。パソコンのCPU(プロセッサー)が有名です。使いこなせないほどの高性能のパソコンが10万円代で買えるのは集積回路技術の発展、WindowsOSとOfficeに代表されるOSとアフリケーションソフト、ADSL接続インターネットの発展などであることはご存知の通りです。

 ボール型(丸い)集積回路と既存のプレーナ型(平坦な)集積回路の違いに関しては私も半導体回路の専門家ではないので詳しくは分からないが、本書での説明によると、球面へトランジスタを造り込むことと、平坦面へトランジスタやコンデンサーや抵抗を造り込む違いがあると説明があります。製造工程にも大きな違いがあってボール型の方が簡単な工程で作ることを狙っており、コスト的にもフレーナ型へ負けないようにして、医療や太陽電池や障害者へ優しい器具や装置の利用に役立ちたいとの思い入れの強い半導体回路です。

 私の個人的な思いは表面を利用するだけでなく絶縁層などをうまく利用して立体構造でシリコンを利用する立体集積回路が最終の姿なのかなと思いますが立体配線や放熱に課題がありそうです。しかし最終目標は人間の脳、これは立体構造そのものであり、再生可能でこれこそが何時実現されるか検討も付きませんが、究極目標のLSIだと思います。

 当本は半導体集積回路の専門書ではありません。故石川明さんは外資系半導体集積回路の研究開発、製造販売会社日本TIの管理職から役員、社長、米国本社TIの副社長まで歴任された経営者としてすばらしい能力をもった方で、悠々自適の人生の終盤を迎えることもできたのに、敢えて60歳でベンチャー企業ボールセミコンダクタを立ち上げて道中半67歳にしてがんで亡くなられました。ベンチャー起業から現在までの7年間の結果は残念ながら、失敗と言わざるを得ないとのことで、仲野先生としては辛い気持ちではないかと少し心配です。故石川さんの息子さんが、会社を引継いでいるとのことですが、研究開発費の投入にも限界があり規模はかなり縮少して継続されているようです。

 故石川さんと仲野先生の関係はHONDAの故本田宗一郎と藤沢武夫さんとの関係に近いのでは言う方もいると思いますし、私もそのように感じました。(参考HP:経営の成功者から学ぶ経営の知恵 創業者列伝)

 故石川さんと仲野先生は京セラを創業した稲盛和夫さんを師と仰いで勉強され、ボール社の経営へ生かされたとのことです。

 当本によって外資系の会社日本TIのイメージが大きく変わりました。能力主義、成果主義、即戦力を地で行く会社ではなかったのかとばかり思っていましたが、故石川明さんが極めて日本的な外資系の会社に仕上げたので日本TIの成功があったものと思います。日本的な部分をもつ外資系の会社としてもうひとつ日本IBMも日本的なイメージを併せ持つ会社のような感じを受けていますが、細かい点は良く知りません。米国TIのトップの方も優れた経営者が多いのにも驚きました。私が知っているというか本で読んだレベルでしかありませんが、有名な会社としてインテル、マイクロソフト、アップル、オラクル、SUN、HPなどがありますが、それぞれ伝説の経営者によって現在の名声が得られたものと思います。日本ではホンダ、トヨタ、SONY、松下、京セラなども伝説の経営者によって名声が得られた会社であり、今でもその会社は創業者の魂を受け継いでやっていると思います。

 恥ずかしい話ですが、1948年生まれの私は稲盛さんのことについて何か本を読んだことがありませんでした。これを機会にして、稲盛さんが書かれた本をいくつか読んでみたいと思います。稲和塾を作って中小企業経営者の育成に当たられていることも知りませんでした。

 私は37年間サラリーマン生活をしてきましたが、経営に関する仕事には関係せず一平サラリーマンで終わることになります。起業する気持ちは全くありませんが、60歳以降の生き方をどうするかという点で参考にさせてもらいたいと思います。74歳の稲盛さんは未だ精力的に中小企業向け経営者の人材育成に当たられています。

 本書の著者仲野先生と私自身の関係について少し記載します。本書にありますように大分高専がキーワードですが、私は大分高専1969年電気科卒であるため仲野先生が大分高専で1971-72年の期間、英語の先生として在校していた時期とは重なりは全くありませんが、私が大分高専関東支部同窓会第1回の案内状を東日本地域の方々に発送依頼した時、先生宛にも案内状が届いたのが一期一会の始まりだったのです。この時仲野先生はボールセミコンダクタ石川明さんがなくなられて、1年半ごろで会社をどのような方向へ縮小しながら、研究はどのようにして継続していくかCEOとして大変な状況下にあった時期と推察します。

 その時は先生よりメールを頂き、横浜に在住しているので、「参加させて欲しいが今回は米国ダラスでのベンチャー企業の仕事で都合が付かず残念です。」というものでした。この時仲野三兄弟(一光S43E卒、公明S44M44卒)の長男であること、大分工業高校で英語の先生をしていたが、故池田先生の引きで大分高専へ変わったことを知りました。またこの時大分高専の生産技術グループの秦さんが大分工業時代の教え子であるとの紹介を受けました。秦さんにはロボコンのことで、いろいろと母校の対応状況に関して連絡をやりとりさせてもらいました。2005年は第18回高専戦ロボコン全国大会初出場という快挙もあった記念すべき年となりました。

 第二回の同窓会案内も同様に先生へ届き、「今年は都合が付くので参加したい。」との連絡を受けて慌てて、招待恩師ということで、連絡を取らせて頂きました。この時「丸い半導体に挑んだ男たち」を12月16日発刊することを聞きました。先生の日本TIにおける活躍や米国でのベンチヤー企業立上げ時の苦労話は私たち現役社会人にとって多いに参考にできるものがあると考え「元気のでる講演をして頂きたい。」と突然のわがままを聞いてもらい、先生のお話は分かり易く声もよく通り同窓会出席者からよい話が聞けたとの反響がありました。希望者の中からジャンケンで決めた3名の方には先生から自宅へサイン入りの当本を直送してもらえると言うプレゼントまで頂きました。本当にありがとうございました。

 私は田町駅前の虎ノ門書房へ12/14当本を予約して12/19入手して12/26までに読み終えることができました。「丸い半導体へ挑んだ男たち」は仲野先生が師と仰いだ石川明さんのレクイエムとして書かれておりますが、仲野先生自身がどのような半生を送られた方であるかも本書に記載があります。凡人には予想ができないくらい人脈が広くて、たくさんのことを同時にできる能力を持っている方なのだと驚くばかりです。横浜にお住まいとのことですから、今後供親しくお付き合いをお願いしたいと思っているところです。

 暮れの休み12/29には稲盛さんの本も読まなくてはとアマゾンで稲盛和夫を検索するとすごくたくさんの本を発行しているのに驚きました。何から読んでいいやら全く検討がつかないが、「ガキの自叙伝」と「生き方」の2冊を発注して、12/31には入手しました。60歳以降の生き方が見えていない私に何かのヒントを与えてくれるといいなと期待をよせて読もうというところでした。

 1/2-1/3にかけて稲盛さんの「ガキの自叙伝」を読みました。1959年27歳で京都セラミック鰍創業、1966年にIBMシステム/360向けIC用アルミナサブストレート(集積回路用基板)の受注し、稲盛イズムに火がついて出荷成功から現京セラの快進撃がスタートしました。いくつもの異業種の会社から合併再建を依頼されそれをことごとく成功させた稲盛さんはすごい人です。創立42年2001年には連結で1兆円を越え、第一種通信事業の第二電電から統合したKDDIグループも単純合算すると4兆円を超える企業になっています。通信キャリアの自由化によってNTTの独占を壊して通信料金の低価格化の引き金を作り、携帯電話の料金値下げにも寄与しているものと考えます。

 第二電電設立1年前に「稲友塾」を開始して若手中小企業経営者の研修にも力を注いでいます。能力のある方は本当に同時にいろんなことを実行することができるのだとあらためて思い知らされました。京都で始まった盛友塾が名前をかえた仲野先生も塾生になっている「盛和塾」が関東まで広がって海外にも広がりつつあるというのは稲盛さんの人徳なのだと思います。1997年65歳で胃がんの手術をしたにも関わらず元気で世界中を廻っている今年で75歳になられるスーパーマンです。現在は会社経営には直接タッチしていないようですが、若手経営者の育成や著作活動に専念されているようです。

 二つの著作から、私が感じたことは財産も大した能力もないけれど、元気な内には微力でも何か人に役立つことをして、悔いを少しでも少なくして、残りの人生を送りたいものだという思いを強くしました。皆さんにも是非、「丸い半導体に挑んだ男たち」発行元:新生出版、著者:仲野英志 \1600+税 を借りてではなくて購入して、読んで欲しいと思います。購入することの意義は本書の中に記載されております。

2007.01.06S44E 井堀昭一

関連リンク
大分高専同窓会レジメ(PDF)
チラシ大分向け(061025)(PDF)